遠近道印は筆名で「おちこちどういん」と読み、十七世紀後半に活動した地図製作者です。測量と作図の技術に優れ、寛文年間(1661〜73年)に作成版行した江戸市中図「寛文五枚図」は、初めての正確な江戸図として高い評価を得ました。その後も各種の正確な江戸図や街道絵図を次々と作成版行し、「図翁」(地図製作の名人、の意)とも称せられました。しかしその実像はよくわかっていません。本名を藤井半知といい、晩年富山藩に藩医として仕えていたとする説が有力ですが、生没年や経歴など、詳しいことはわからない謎の多い人物です。
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