本図は1889(明治22)年に出版された鎌倉と鎌倉近傍の景勝地である江の島を描いた絵地図である。鎌倉は近世以来のたたずまいを維持していたことが窺われるが、近代の要素として円覚寺境内を分断しつつ画面左上から斜め下方へ若宮大路を貫いて横須賀へ至る鉄道線(横須賀線)とその「ステンション」が加わっている。なお、横須賀線の開通は本図出版の翌月のことである。