児玉謙次は横浜正金銀行出身で最初の頭取である。また、正金銀行の歴史の中で在任期間が最長の頭取でもある。児玉頭取時代のスタートは1923(大正12)年の関東大震災という未曾有の大災害に直面し、貿易が輸入超過になるなど正金銀行の経営が困難を迎えた時期であった。さらに1927(昭和2)年の金融恐慌とモラトリアムに際して正金銀行は幸いにも混乱もなく平常業務を継続することができたが、その後の金輸出の再禁止(金本位制からの離脱)や1933(昭和8)年世界恐慌によって日本経済はますます閉塞していく中で、正金銀行はなんとか経営を維持し、株主への配当金も維持し続けた。
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