展示

神奈川県鳥瞰図

今月の逸品」では、学芸員が交代で収蔵資料の魅力を紹介します。

2018年6月の逸品(展示期間:~7月1日)

神奈川県鳥瞰図

神奈川県鳥瞰図

縦約80cm、横約420cm

神奈川県鳥瞰図は今から約90年前に描かれたパノラマ絵図である。
その魅力は何といっても大きさにある。縦約80cm、横約420cmのこの大きな絵図がもつ迫力は、やはり実物を目の前にしないと感じられない。7月1日までの期間限定で展示しているので、この機会にぜひ実感してほしい。

さて、この絵図は神奈川県観光連合会の依頼によって、鳥瞰図絵師の吉田初三郎が昭和7(1932)年に手掛けたものである。
神奈川県観光連合会は観光の振興を目的として設立された団体で、鳥瞰図が作成されたのも神奈川県の魅力を広く発信するためであった。なお、翌年にはこれを原画にした観光案内パンフレット『神奈川県観光図絵』が発行されている。

関東大震災から復興を遂げつつあった昭和のはじめ、神奈川県の観光を支えた要素の一つが交通網の発達であった。鳥瞰図を見ると東京と県域をつなぐ鉄道網や、横浜と海外をつなぐ国際航路が描写されている。


平成30(2018)年には、富士ゼロックス神奈川株式会社が伝統文化継承に貢献する活動の一貫として複製を製作し、当館に寄贈された。
時代を超えて未来へ伝えたい逸品である。(武田周一郎・当館学芸員)

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