三島の宿は、伊豆の国府であり、古くから三島神社の門前町として栄え、下田街道との分岐点でもあった。本図は、前景に三島神社の前を馬と駕籠に揺られてゆく早立ちの旅人を描き、背後に霧に霞む鳥居や旅人の姿をシルエットで見せる。はかなく消え失せる霧。自然現象を巧みに利用した叙情的な画面構成である。