この八景揃物は、保永堂版東海道の後に版行されたと思われ、この頃出された「京都名所之内」「東都名所」とともに広重の力作の一つ。広重は、この古典的な画題に自然景物に重点をおいた構図をとり、人物等は添景に扱うところに特徴がある。画面一杯に聳える比良山の山容は山襞に板ぼかしの技法で山塊の立体感を出している。