近景に大きく菖蒲の花、花の間に見物の人々の姿を配し、低くおさえた遠景は画面に広がりを見せている。安政頃に刊行された『江戸近郊名所案内』に「堀切村百姓伊右衛門、花菖蒲の名所なり」とある。5月頃には瑠璃色・純白・絣など色とりどりの菖蒲の花が人々の目を楽しませた。堀切という地名は、葛西一族の城郭跡という。