本図は、「冨嶽三十六景」を代表する作品の一つで、「山下白雨」とともに北斎が富士山を主に取り組んだ傑作。鋭く天を突く富士は、左方に長い裾野をひいている。夜のとばりがおもむろに引き上げられようとする朝まだきの一瞬、富士はその身を赤々と染める。この赤富士と呼ばれる自然現象は、夏から秋にかけて見られる。