かつて、人の一生のさまざまな場面に現れる〈白〉の造形がありました。
平安時代、出産の場には白い綾絹を貼った白綾屏風を立て回し、妊婦や介添えの女性たちは白い装束に身を包んで、生命の誕生を迎えました。やがて白綾屏風は、白地に白の絵の具で松竹鶴亀を描く白絵屏風へと変化し、白木に白で文様を描く白絵の調度とともに、産所のしつらいとして受け継がれました。そして、江戸時代には、成長をめぐる折々の儀礼や婚礼の際にも、白絵の調度が調えられるようになります。白地に白で、白木に白で文様を描く「白絵」という技法は、さまざまな色を用いた鮮やかな造形表現とは一線を画すものと言えます。そして、眼を転じれば、白い袿を被せられた死者を描く「六道絵」や、白装束の葬列を描く絵画作品に見るように、〈白〉は人の死とも関わりの深い色でした。
人々の生命にかかわる場に現れる〈白〉の造形には、どのような祈りが込められていたのか。この展覧会では、白一色による表現を選び取った「白絵」という〈かたち〉に注目し、人々の意識の奥底に受け継がれた、祈りと寿ぎの美のあり様を考えていきます。
【おことわり】会期中、作品保存のため一部の作品を展示替えいたします。チラシ等に掲載されている作品が展示されていない場合もあります。各作品の展示期間は、特別展出品目録をご覧ください。 ※特別展チラシと特別展出品目録は後日掲載します。
◇ 展示数 約70件
◇ 特別展展示作品目録 [PDF/135kb]
◇ 特別展簡易展示作品目録 [html]
◇ 『白絵展あれこれ』 2014年11月14日 update!
※別ウィンドウが開きます。
開館時間: | 午前9時30分〜午後5時 (入館は午後4時30分まで) |
休館日: | 月曜日(10月13日・11月3日は開館) |
会 場: | 特別展示室・コレクション展示室 |
観覧料: | 大人…900円(20名以上の団体は100円引) 20歳未満・学生…600円(20名以上の団体は100円引) 65歳以上・高校生…100円(団体の場合も同一料金) ※中学生以下・障がい者手帳をお持ちの方は無料 |
主 催: | 神奈川県立歴史博物館、文化庁 |
関連行事:
- 特別展記念講演会「「白絵屏風」から語り出す日本美術史」
- 県博セミナー「〈白〉をめぐるかたちの系譜」
- 子ども向け体験教室「むかしの子どもたちのお守り人形・這子(ほうこ)をつくろう」
- 学芸員による展示解説
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「白絵 -祈りと寿ぎのかたち-」展チラシ [pdf/1.5MB]
白絵松竹梅鶴亀宝尽図振々 奈良県立美術館蔵
重要文化財 厨子入銀造阿弥陀如来立像 浄厳院蔵 〔後期展示〕
国宝 六道絵 人道不浄相 聖衆来迎寺蔵 〔展示期間:11月1日(土)〜11月16日(日)〕 画像提供 奈良国立博物館(撮影 森村欽司)
白絵屏風(左隻・部分) 京都府立総合資料館蔵(京都文化博物館管理)
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