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トップページ展示案内総合テーマ展示>没後120年 芳年が描いたかながわとゆかりの人物



 幕末から明治期に活躍した月岡芳年(1839〜92)は「最後の浮世絵師」と呼ばれる浮世絵師の一人です。歌川国芳に入門した芳年は明治維新の頃、血も鮮やかな殺傷の場面を描きました。その真に迫った表現は現代人の心をつかみ、残虐な表現こそが芳年作品の魅力であると語られてきました。しかし、芳年は、当時起こった事件や江戸以前から親しまれてきた物語の登場人物、人気の浮世絵の題材である美しい女性など、あらゆる人間を確かな筆力で描き出しています。芳年の没後120年にあたる今年は、当館所蔵の芳年作品からかながわの風景や鎌倉時代の武士を題材とした作品ほか約30点をご紹介します。芳年作品の多様な人物描写に新たな魅力を見いだしていただければ幸いです。

魁題百撰相かいだいひゃくせんそう 会津黄門景勝あいづこうもんかげかつ

明治元年(1868)

明治維新期のいわゆる血みどろ絵。青白い首に血が鮮やかです。「魁題百撰相」は鎌倉後期以降に活躍した武将らの姿として描いていますが、実際は明治元年(1868)にはじまった戊辰戦争で戦った人々の様子をあらわしています。

「月百姿 稲むらか崎の明ほのゝ月」

明治19年(1886)

新田義貞(1301〜38)は元弘3年(1333)5月、鎌倉幕府を倒すために稲村ヶ崎(鎌倉市)へ到着。海岸をつたって鎌倉を攻め入ることは困難とみた義貞が、金の太刀を海中に投じて龍神に祈ると潮が引いたので北条高時を滅ぼすことができました。

「五代目尾上菊五郎の一つ家の老婆」(部分)

明治23年(1890)

浅茅が原(東京都台東区)に旅人を泊めては殺して金品を奪う老婆がいました。この「一つ家伝説」の老婆は、白髪で上半身裸の恐ろしい姿で繰り返し浮世絵に描かれました。老婆に扮した明治を代表する歌舞伎役者五代目菊五郎(1844〜1903)は大磯町(中郡)に別荘を構えていました。

◇ 展示目録

近世のコーナー
資料名作者和暦年
大蘇芳年像後藤年景明治25年(1892)
末広五十三次 平塚月岡芳年慶応元年(1865)
末広五十三次 大磯月岡芳年慶応元年(1865)
末広五十三次 小田原月岡芳年慶応元年(1865)
大日本名将鑑 新田左中将義貞月岡芳年明治11年(1878)頃
月百姿 稲むらか崎の明ほのゝ月月岡芳年明治19年(1886)
大日本名将鑑 最明寺時頼入道月岡芳年明治11年(1878)
芳年武者旡類 相模守北条最明寺入道時頼月岡芳年明治16年(1883)
大日本名将鑑 北条泰時月岡芳年明治12年(1879)
月百姿 金時山の月月岡芳年明治23年(1890)
月百姿 雨後の山月 時致月岡芳年明治18年(1885)
月百姿 足柄山月 義光月岡芳年明治22年(1889)
今様けんし江之島児ヶ淵月岡芳年元治元年(1864)
美談武者八景 鶴岡の暮雪月岡芳年明治元年(1868)
曾我時致乗裸馬駆大磯月岡芳年明治18年(1885)
芳年漫画 後醍醐天皇第三皇子大塔宮護良親王誦読於鎌倉土牢法華経図月岡芳年明治19年(1886)
近世八戦争 相州箱根月岡芳年明治4年(1881)
武州六郷船渡図月岡芳年明治元年(1868)
和漢百物語 華陽夫人月岡芳年慶応元年(1865)
魁題百撰相 会津黄門景勝月岡芳年明治元年(1868)
大日本優名鏡 団十郎の弁慶・力士熊ケ嶽庄五郎・大蘇芳年山崎年信明治11年(1878)
仮寝のきぬぎぬ月岡芳年万延元年(1860)
新撰東錦絵 於富与三郎話月岡芳年明治18年(1885)
風俗三十二相 むまさう 嘉永年間女郎之風俗 月岡芳年明治2元年
新形三十六怪撰 四ツ谷怪談月岡芳年明治25年(1892)
新形三十六怪撰 皿やしき於菊の霊月岡芳年明治23年(1890)
新形三十六怪撰 清姫日高川に蛇体と成る図月岡芳年明治23年(1890)
五代目尾上菊五郎の一つ家の老婆月岡芳年明治23年(1890)
近代のコーナー
資料名作者和暦年
皇国一新見聞誌 浦賀亜船来航月岡芳年明治9年(1876)
仏蘭西英吉利西三兵大調連之図月岡芳年慶応3年(1867)
高縄鉄道之図月岡芳年明治4年(1871)
吾嬬絵姿烈女競 遊妓喜遊月岡芳年明治13年(1882)

◇ 開館時間:午前9時30分〜午後5時
      (入館は午後4時30分まで)

◇ 休館日:「開館日カレンダー」をご覧ください

◇ 会 場:常設展示室2階 テーマ3「近世の街道と庶民文化」コーナー

◇ 観覧料:常設展観覧券でご覧いただけます

◇ 展示期間:2012年10月末まで


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