見どころ(2)釉下彩の洗練された美

 初代香山は、明治20年代以降、釉薬の研究に没頭し、多彩な釉下彩の作品を生み出しました。釉下彩とは、図柄を描いてから透明釉をかけて本焼きを行う技法です。それまでの日本の陶磁器では、色数の多い絵画的な図柄を表すには、透明釉をかけて焼成した上から上絵具を用いて描く「上絵」が主流で、釉薬に覆われてしまう釉下彩で多彩な色調を表現することは困難でした。香山は、中国・清時代の磁器に学びながら、釉下彩での鮮やかな発色や微妙なグラデーションの表現を成功させ、ヨーロッパのアール・ヌーヴォーにも通ずる新たな美を築きました。

色嵌釉紫陽花花瓶 初代宮川香山

釉下彩緑釉藤図大花瓶 初代宮川香山

 灰色を帯びた地色と紫陽花の花の白、葉の表裏の緑色の微妙な違いに繊細な色彩感覚がうかがえる「色嵌釉紫陽花花瓶」。
 グリーンの地の鮮やかさと藤の花のグラデーションが美しい「釉下彩緑釉藤図大花瓶」。

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