見どころ(1)彫漆と鎌倉彫を見くらべる

 鎌倉彫は、鎌倉時代に中国からもたらされた彫漆器を、木彫漆塗の技法で写したことから始まったと言われています。
 彫漆とは、木製の器胎の上に色漆を幾重にも塗り、その上から文様を彫り出す技法です。鎌倉彫では、漆を塗り重ねるのではなく、木製の器胎そのものに文様を彫って漆を塗り、彫漆の風合いを再現しています。
 彫漆と鎌倉彫の文様の側面を見くらべると、重なり合う漆層の有無を見てとることができます。

堆朱屈輪文香合(部分)

鎌倉彫屈輪文香合(部分)

 中国・明時代に作られた「堆朱屈輪文香合」を拡大して見たところ。漆を塗り重ねて、文様を彫り出す彫漆の技法で作られており、赤、黒、黄色の積層が地層のように見えています。
 「鎌倉彫屈輪文香合」を拡大して見たところ。彫漆に見られるような漆の積層は見えません。

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