見どころ(3)多彩な表情を楽しむ

 彫漆に倣った中国風の文様構成の美と、木彫漆塗の力強い風合いを受け継いだ鎌倉彫は、多彩な表情の作品を生み出しました。文様を彫り出す際にどのような角度で刀を入れるのか、どのくらいの深さで彫るのか、余白の部分の有無など、彫技の違いが作品の表情の違いにつながっています。一つの作品の中でも、部分によって異なる彫り方を用いることもあり、こうした自在な彫技が、鎌倉彫の最大の魅力です。

鎌倉彫葡萄文台子(部分)

 「鎌倉彫葡萄文台子」の天板を上から見たところ。一本の蔓に葉が繁り、葡萄の実がなっています。わさわさと重なり合う葉の表現に注目。

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