
5月も終わろうとしている今日(30日)は、北風が吹き冷たい雨の降る春先のような陽気となってしまいました。その中、横浜駅近くのかながわ県民センターの会議室をお借りして、「陶磁器・漆器産地としての横浜」と題した講演会を開催しました。
あいにくの天候にもかかわらず多くの参加者があり、主催者としてありがたく思います。なお今回は、ミュージアムショップも出張販売を行いました。
さて今回は、当館で工芸を担当している鈴木学芸員による講演でした。鈴木学芸員は眞葛󠄀焼などの陶磁器の研究のほかにも、昨年は特別展「近代輸出漆器のダイナミズム-金子皓彦コレクションの世界-」を担当しました。この講演では、貿易港として各地で生産された絹や茶などをヨーロッパなどに輸出する拠点であった横浜が、一方で同じく輸出品であった陶磁器や漆器といった工芸品を実は生産していたこと、そしてそれぞれの歴史的背景や造形の特徴などを、画像を駆使しながら熱く語りました。参加者の皆さんも熱心に聞き入り、外とは違い会場内は熱気に満ち溢れていました。
意外と知られていない横浜の幕末明治期の歴史・文化の一面をうかがい知ることができたのではないかと思います。また来年10月に再開館した折には、明治期の輸出陶磁器として当館が大切にお預かりしている田邊哲人コレクションの眞葛󠄀焼の名品の数々を、是非ご観覧いただければと思います。そして作品を通して、往時の横浜の姿に想いを馳せてみてください。私も眞葛󠄀香山のその精巧な造形とともに格調高い作品には、いつも魅了されています。
今後も、さまざまな講演会を開催していきますので、是非当館HPなどでご確認ください。多くの方のご参加をお待ちしています。