
当館では、数年前から夏休み期間に「高校生浮世絵講座」を実施してきました。今年は休館ということもあり、藤沢市辻堂の駅近くにあります藤沢市藤澤浮世絵館とコラボして講座を実施しました。
最初に、当館学芸員である桑山企画普及課長から浮世絵の歴史のほか、道中記や絵図などから神奈川県域の名所(観光地)についてレクチャーがあり、その後に藤澤浮世絵館で開催中の「浮世絵で訪ねる藤沢宿と江の島道 参詣と観光の歴史」をみんなで見学し、実物の浮世絵を見ながらクイズに挑戦したり、描かれた風景の特徴や違いなど、楽しみながら鑑賞しました。
ちなみにレクチャーの中では、大河ドラマ「べらぼう」を話題に蔦重や浮世絵の話も出たのですが、今どきの高校生たちはそもそも大河ドラマを見ていないということで、ちょっと盛り上がりに欠けたのは仕方のないことなのでしょうね。
そして最後は、この講座のメインイベントでもある浮世絵の摺りに挑戦しました。まず藤澤浮世絵館の学芸員である益田亮助さんに、版木への色付け方法からばれんの使い方など基本的なことを実演で教わり、それから実際の摺りを体験しました。
最初は恐る恐る摺っていましたが、次第に慣れてくると手際も良くなり、各自りっぱな作品を摺り上げていました。なお今回摺りで使用した版木ですが、すべて益田さんの自作だそうです。サクラ材を使用し、なかには彫り上げるまでに20時間ほどかかったものもあるそうです。そして彫るよりも彫刻刀を研ぐ時間の方が長いかなと、彫師らしい一言もありました。
2時間ほどの短い時間でしたが、参加してくれた高校生たちもみんな満足してくれたようで、自分で摺った作品を大切に保管して、帰路についていました。
猛暑のなか参加してもらった高校生たちのみなさん、ありがとうございました。またこれをきっかけに、たくさんの浮世絵作品を鑑賞してみてください。そして講座開催にあたりご協力いただきました藤澤浮世絵館のみなさんに、あらためて御礼を申し上げます。