
三連休の日曜日(23日)、現在発掘調査を行っている三浦市の間口洞穴 遺跡を見学してきました。
発掘主体は、歴史博物館内に設置された間口洞穴遺跡学術調査団で、当館の考古を担当する佐藤学芸員も、もちろん参加しています。洞穴遺跡は海岸線の崖が波の浸食作用により削られた洞窟の遺跡で、「海蝕洞窟遺跡」とも言われています。この洞穴遺跡が、実は神奈川県の三浦半島に多くみられ、その一つが間口洞穴遺跡です。
間口洞穴の発掘調査は、県内の考古学の先駆者ともいえる赤星直忠氏によって1949年に初めて行われました。その後当館の前身である県立博物館が、1971年から73年にかけて5回にわたり行い、赤星氏の調査と同様に弥生時代中期から古墳、古代、中世の遺物が出土しています(遺物の多くは、現在県の重要文化財に指定されています)。土器以外ではアワビやオオツタノハなどを加工した貝製品、漁撈 に使う銛 や針などの骨角器が主な出土品ですが、その中に占いに用いられたと考えられる弥生時代の卜骨 (国内で最初の発見)や古墳時代の卜甲 といった特徴的な資料も出土しています。当時の人々は、この洞穴をどのように利用していたのでしょうか。漁撈のためのベースキャプ? 大漁を祈願する祈りの場? あるいは貝製品の加工工場?など、想像は膨らむばかりです。
今回は第7次の調査となるわけですが、まずは遺構の確認調査を行うと聞いています。そしてその結果をもとに、今後第8次、第9次と調査が進展するのではないかと思います。ぜひ成果に期待してください。
さて間口遺跡は現在の三浦市南下浦町松輪の間口漁港近くの崖にあり、港を挟んで反対側には大浦山洞穴遺跡という別の洞穴遺跡もあります。交通の便は少々悪いのですが、大浦山洞穴遺跡のほうは三浦市の案内看板もあり公開されていますので、機会があれば訪れてみてはいかがでしょうか(ただし藪の中にありますので足元などに注意してください)。
なお洞穴遺跡についてもっと知りたいという方は、3月29日(土)に横須賀市立勤労福祉会館(ヴェルク横須賀)で午後1時から、3人の講師が鼎談形式で洞穴遺跡研究の最前線を語る講演会を開催しますので、ぜひ参加してはいかがでしょうか。詳しくは当館HPで。3月5日(水)締切です。お急ぎを!
さらに神奈川の洞穴遺跡については、当館で2022年に開催した特別展「洞窟遺跡を掘る-海蝕洞窟の考古学-」で、詳しく紹介しました。現在は休館中のためネット販売で特別展図録を販売しておりますので、是非お買い求めください。
見学当日は、寒波が嘘のような穏やかな晴天で日差しの下では暖かな一日でした。京急の三浦海岸駅前の河津桜も7分咲きといった感じで、桜まつりも催され大変な賑わいでした。