クローズアップ飾り棚の世界

※飾棚をクリックすると別ウィンドウが開き細工を拡大して見られます。

今回の展覧会場には、二メートルを越すような背の高い飾棚が並び立ちます。いずれも扉や抽斗に華やかな花鳥図をあらわし、隅々まで隙間がないほどに繊細な彫刻がほどこされています。これらは近代に西洋への輸出品としてつくられたもの。椅子を用いる生活様式に合わせて、脚部がついているのも特徴です。こうした飾棚は、棚そのものが室内を飾る装飾品だったといえます。西洋の邸宅に置かれると、華々しく異国情緒あふれる雰囲気を放っていたことでしょう。

ここで紹介する飾棚もそのうちの一つ。細部の装飾が特に優れた作品です。会場内ではあまり近づけませんが、見ていただけないのはもったいない!そこで、このページでは、細部をクローズアップしてご紹介します。鶉や鳩などの身近な鳥は羽まで細かく刻まれ、桜や蓮などの季節の花は瑞々しく、絵画のような構図もぴったりと決まっています。これには象牙や獣骨、貝などを器面にはめる芝山細工や、金と漆で模様を表す蒔絵の技術が用いられており、それぞれ専門の職人が順番で細工をほどこしていました。職人の技術の高さと、それを目にした西洋の人々の驚嘆を思い浮かべながら、鳥や花々の活き活きとした表現をお楽しみください。