二代歌川広重(1826~69)は幕末から明治初めにかけて活躍した浮世絵師です。初代広重の作風を継いだ抒情味あふれる風景画を手掛けたほか、横浜浮世絵の分野でも多くの作品を遺しました。今回は当館所蔵の二代広重作品から、「諸国名所百景」のシリーズを全5期に分け、南から順に北上しながら展示いたします。二年五ヵ月もの歳月をかけて制作に挑んだ二代広重の大作をご堪能ください。
「諸国名所百景」では、北は青森、南は長崎までの、日本全国の名勝・名跡が描かれます。二代広重はこうした諸国の様相を、さまざまな絵手本を参考にしつつ制作しました。師匠である初代広重の作品、淵上旭江著『山水奇観』をはじめとする名所図会がその一例でしょう。二代広重はここに、異国船や外国人といった最幕末の浮世絵師らしいモチーフを時折加えながら、日本の美しい風景を独自の視線で描いています。第一弾の九州・中国・四国地方の作品に続き、今回は第二弾として、四国・近畿地方の作品をご覧いただきます。
開催情報
概要
■展示期間:2019年12月4日(水)~2020年1月26日(日)
■開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
■休館日:
月曜日(1月13日は開館)、12月24日(火)、12月28日(土)~1月4日(土)、1月14日(火)
■会場:常設展示室2階 常設展示/テーマ3 近世
■観覧料:常設展観覧券でご覧いただけます。
一般300円(250円)、20歳未満・学生200円(150円)、高校生・65歳以上100円(100円)
※中学生以下・障害者手帳をお持ちの方は無料、( )内は20名以上の団体料金
※神奈川県立博物館等の有料観覧券の半券提出による割引制度あり
播州 舞子の浜(部分)
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舞子の浜は現在の兵庫県神戸市に所在し、遠景に淡路島を見ることができます。群生する磯馴松の姿は舞を踊る「舞子」のよう。 |
大坂 天保山(部分)
天保山は大阪市に現存する人工の山で、現在の標高はわずか4.5メートルほど。しかし、もともとは十間(約18メートル)余の山でした。 |
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泉州 牛滝 丹楓(部分)
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牛滝山大威徳寺(大阪府岸和田市)周辺は今日まで続く紅葉の名所。本図では、大威徳明王ゆかりの伝承をもつ不思議な滝や石が登場します。 |
展示リスト
作品名 |
作者名 |
出版年 |
諸国名所百景 阿波 鳴戸 真景 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)九月 |
諸国名所百景 播州 室津 真景 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)十月 |
諸国名所百景 播州 舞子の浜 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)九月 |
諸国名所百景 播州 姫路 市川渡し |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)十一月 |
諸国名所百景 但馬 鷹のはま |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)十一月 |
諸国名所百景 大坂 天保山 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)十月 |
諸国名所百景 摂州 難波橋 天神祭の図 |
歌川広重(二代) |
万延元年(1860)三月 |
諸国名所百景 摂州 布引の滝 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)五月 |
諸国名所百景 泉州 堺 なにわやの松 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)九月 |
諸国名所百景 泉州 牛滝 丹楓 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)十二月 |
諸国名所百景 大和 よし野山 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)十月 |
諸国名所百景 大和 長谷寺 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)九月 |