展示

ウィリアムズ女史日本旅行記念蒐集資料

今月の逸品」では、学芸員が交代で収蔵資料の魅力を紹介します。

2019年2月の逸品(展示期間:2月9日~25日 ミュージアムトーク:2月20日)

ウィリアムズ女史日本旅行記念蒐集資料

ウィリアムズ女史日本旅行記念蒐集資料

神戸市田写真館で撮影されたルイーズ・ウィリアムズ(左)

日本が開国した19世紀半ばは、鉄道や船舶航路などの交通網が整備されたこともあり、多くの欧米人富裕層が世界旅行を楽しむグローブ・トロッター(世界漫遊家)の時代でした。当館では、そのような旅行者のひとりであったアメリカ人女性ルイーズ・ウィリアムズが1897年に日本を旅行したときに入手した資料群を所蔵しています。

ルイーズは、1897年8月にカナダ太平洋鉄道会社が運航する豪華客船で横浜に来日すると、日光、東京、箱根、伊勢、京都、神戸、広島、長崎を巡ります。その間、今日でも外国人観光客の多くが向かう観光地を訪れ、伝統芸能を体験したり、刀剣や陶磁器などの日本の美術工芸品を熱心に購入したりしました。そのときの領収書やショップカードなども、来日直後に宿泊したグランドホテルのガイドブックや英語版地図、条約で規定された範囲を超えて旅行する場合に必要となった《外国人内地旅行免状》など、旅行の必需品とともに大切にルイーズは保管していました。そのおかげで、彼女の足跡とともに、当時の外国人が日本のどこに魅力を感じていたのかを知ることができます。

今日に至るまで外国人を魅了してやまない日本の文化を再確認することができる逸品です。(嶋村 元宏・当館主任学芸員)

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