催し物
講座・講演会
館長トーク「古代南武蔵の様相-橘花屯倉と橘樹郡-」
今回の館長トークは、川崎市の国指定史跡に指定されている橘樹官衙遺跡群(たちばなかんがいせきぐん)を中心に、古代の神奈川、特に南武蔵地域の様子を紹介しました。講座の題名にもなっている橘樹郡(たちばなぐん)は古代武蔵国内の郡のひとつで、おおよそ現在の川崎市域にあたります。
前半は、古代の神奈川の様子など地図を使って紹介したあと、日本書紀を読み解きながら橘花屯倉(たちばなのみやけ)が誕生した背景についてお話しました。その後、橘樹郡の役所があった橘樹官衙遺跡群について解説し、政治の中心地として重要な場所であったことをお話しました。
後半は、木簡や文献史料を読み解き、さらに影向寺境内の遺構から出土した「无射志国荏原評」(むさしのくにえばらこおり)と書かれている瓦について紹介しました。影向寺は武蔵国橘樹郡(評)に所在していることから、本来多摩川下流域の両岸地帯が橘樹評であったのが、ある時期に分割され、多摩川左岸に荏原評が成立した可能性があることなどを解説しました。(「評」は大宝律令施行以前の地方行政単位です。)
最後に館長トピックスとして紹介したのは、律令制下の郡について大宝令制以前にその名称が「郡」と「評」のいずれであったかをめぐる「郡評論争」についてです。地方行政単位の表記が「郡」なのか「評」なのか、646年の大化の改新の詔の信憑性を含め議論が起き大きな問題となり、「郡評論争」と呼ばれました。
今回の館長トピックスも盛り上がり、参加者の方からは「研究の重要性を実感した」や、「今まで以上に古代史に興味を持った」などの感想をいただきました。
2015年に国史跡に指定された川崎市の橘樹官衙遺跡群に、今年7世紀段階の倉庫が復元されました。そこでこの地域の6~8世紀における様相を、「屯倉(みやけ)」と「評(ひょう)・郡(ぐん)」をキーワードに考えてみたいと思います。
日時 | 2024年7月21日(日) 午後1時30分~3時 |
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講師 | 望月 一樹(当館館長) |
会場 | 当館講堂 |
定員 | 60名(申込み多数の場合は抽選) |
受講料 | 無料(ただし、当日の常設展観覧券が必要です) |
申込 | |
申込締切 | 2024年7月3日(水)必着 申込受付は終了しました |
注意事項 | ・ご来館される前にこちらをご確認ください。 ・天候の急変等により、急きょ中止・変更になる場合がございます。その場合は、このページにてお知らせします。 |