展示

常設展室内トピック展示

断簡

館蔵の中世絵画のなかから「断簡」を特集展示いたします。

伝来の過程で糊が剥がれたり切り詰められたりして伝わった「断簡」は、ちょっと見ただけでは何の物語のどの場面を描いたものかが分からないことがあります。そんなときは物語の名場面を探しながら絵を見ることが大切です。人気の映画や漫画に誰もが思い浮かべることのできる名シーンがあるように、物語絵画にはそれぞれ名場面があるからです。
今回展示する聖徳太子絵伝を例にとれば、木造の小さな四天王像に祈りを捧げる青年が描かれていますが、これは物部守屋との戦に際して戦勝祈願をする16歳の聖徳太子だ、と聖徳太子の伝記を少しでも知っていれば判断できるのです。
また、表具裂にも断簡ならではの見所があります。展示する2点の本願寺聖人親鸞伝絵は法量や描法が全く同じと言ってよいもので、もともと同じセットの作品であったと思われますが、断簡になって以来、別々の運命を辿ってきました。それもあって表具裂や軸端の装飾がそれぞれ異なっています。旧蔵者の趣味の違いに思いを馳せてみるのも楽しいかもしれません。

トピック展示「断簡」に関連して行うミュージアムトーク「今月の逸品」(9月19日14時〜)では、聖徳太子絵伝断簡を中心に、他の太子絵伝との関連などをお話ししたいと思います。

開催情報

概要

展示期間:2018年9月12日(水)〜10月14日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:「開館日カレンダー」をご覧ください
会場:常設展示室3階 常設展示/テーマ2 中世
観覧料:常設展観覧券でご覧いただけます

展示リスト

作品名 時代
本願寺聖人親鸞伝絵 断簡(六角夢想 選択附属) 室町時代 16世紀
本願寺聖人親鸞伝絵 断簡(信行両座) 室町時代 16世紀
聖徳太子絵伝 断簡 室町時代 16世紀
四家鈔図像 断簡(不動 四臂不動) 鎌倉時代 13世紀

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