二代歌川広重(1826~69)は幕末から明治初めにかけて活躍した浮世絵師です。初代広重の作風を継いだ抒情味あふれる風景画を手掛けたほか、横浜浮世絵の分野でも多くの作品を遺しました。今回は当館所蔵の二代広重作品から、「諸国名所百景」のシリーズを全5期に分け、南から順に北上しながら展示いたします。二年五ヵ月もの歳月をかけて制作に挑んだ二代広重の大作をご堪能ください。
「諸国名所百景」では、北は青森、南は長崎までの、日本全国の名勝・名跡が描かれます。二代広重はこうした諸国の様相を、さまざまな絵手本を参考にしつつ制作しました。師匠である初代広重の作品、淵上旭江著『山水奇観』をはじめとする名所図会がその一例でしょう。二代広重はここに、異国船や外国人といった最幕末の浮世絵師らしいモチーフを時折加えながら、日本の美しい風景を独自の視線で描いています。今回は第一弾として、九州・中国・四国地方の作品をご覧ください。
開催情報
概要
■展示期間:2019年10月23日(水)~12月3日(火)
※11月3日(日・文化の日)は無料観覧日です。
■開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
■休館日:月曜日(11月4日は開館)、11月12日(火)、11月26日(火)
■会場:常設展示室2階 常設展示/テーマ3 近世
■観覧料:常設展観覧券でご覧いただけます。
一般300円(250円)、20歳未満・学生200円(150円)、高校生・65歳以上100円(100円)
※中学生以下・障害者手帳をお持ちの方は無料、( )内は20名以上の団体料金
※神奈川県立博物館等の有料観覧券の半券提出による割引制度あり
対州海岸(部分)
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対馬近海においては、江戸時代中期以降、異国船の姿がたびたび目撃されてきたといいます。本図に登場する巨大な帆船は、三本のマストをもち、船の側面には砲台が設置されています。 |
周防岩国錦帯橋(部分)
いまの山口県岩国市、岩国川にかけられた木造のアーチ橋。延宝元年(1673)、岩国藩主・吉川広嘉の考案により完成しました。雪の部分に注目すると、雲母摺が施されているのがわかります。 |
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讃州五剣山(部分)
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頂上に五つの岩峰がそびえるこの山は、現在の香川県北部に位置します。右端の峰は宝永四年(1707)の大地震によって一部が崩落しますが、本図にもその様子が反映されています。 |
展示リスト
作品名 |
作者名 |
出版年 |
諸国名所百景 長崎丸山の景 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)十月 |
諸国名所百景 肥前長㟢目鏡橋 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)十一月 |
諸国名所百景 豊後日田釜渕 |
歌川広重(二代) |
文久元年(1861)九月 |
諸国名所百景 豊前小倉領海岸景 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)十二月 |
諸国名所百景 対州海岸 |
歌川広重(二代) |
万延元年(1860)十月 |
諸国名所百景 周防岩国錦帯橋 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)十一月 |
諸国名所百景 安芸宮島汐干 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)七月 |
諸国名所百景 伊予峯越鳬坂網 |
歌川広重(二代) |
文久元年(1861)一月 |
諸国名所百景 隠岐焚火社 |
歌川広重(二代) |
文久元年(1861)九月 |
諸国名所百景 雲州広瀬真景 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)十一月 |
諸国名所百景 伯耆下谷真景 |
歌川広重(二代) |
安政六年(1859)十一月 |
諸国名所百景 備前竜口山 |
歌川広重(二代) |
万延元年(1860)二月 |
諸国名所百景 讃州五剣山 |
歌川広重(二代) |
万延元年(1860)九月 |
(参考)『山水奇観』 |
淵上旭江 |
寛政十二年(1800) |