展示

常設展室内トピック展示

没後160年 歌川国芳の魅力 【第2回】異国が舞台の物語

今年2021年は歌川国芳(1798~1861)の没後満160年になります。国芳の「奇想」とも呼ばれる縦横無尽な発想と確かな筆致による表現は、100年以上経った現代に生きる人々をも魅了する力を持っています。この機会に常設展示室2階テーマ3 近世で丹波コレクションの国芳作品を5回にわけて展示します。

かつては、東洲斎写楽や喜多川歌麿らが活躍した寛政年間(1789~1801)が浮世絵の歴史上の黄金期とみなされてきました。ようやく、近年、江戸時代の終わりの浮世絵の魅力が広く紹介され、楽しまれるようになってきましたが、それは葛飾北斎や初代歌川広重、歌川国芳らの絵が持つ普遍的な魅力のおかげと言えるでしょう。

トピック展示「国芳」の2回目は異国を舞台とした物語の絵をご紹介します。中国で生まれた『三国志演義』や『水滸伝』などの小説や、『二十四孝』などの逸話は、江戸時代の日本でも訳され、親しまれていました。また、異国を舞台とした小説もあり、国芳もこれらの異国を舞台にした物語の場面を錦絵に描きました。つまり実際に見ることはできない、異国の人物や風景を描いたのです。このような錦絵は日本の物語を描いたものと比べて、陰影表現がはっきりしていたり、雲の表現が独特であるなど、“異国”をあらわす工夫が感じられます。また、これまでの研究で、国芳が外国で出版された書籍の挿絵を参考にしたらしいことが指摘されています。国芳ならではの異国情緒をお楽しみください。

トピック展示は常設展示室内の小特集的な展示です。

開催情報

ご来館される前にこちらをご確認ください。

常設展室内トピック展示没後160年 歌川国芳の魅力 【第2回】異国が舞台の物語

概要

■展示期間:2021年10月6日(水)~2021年11月23日(祝・火)予定
■開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
■休館日:月曜日、10月12日(火)
■会場:常設展示室2階 テーマ3 近世
■観覧料:常設展観覧券でご覧いただけます。
一般300円、20歳未満・学生200円、高校生・65歳以上100円
※中学生以下・障害者手帳をお持ちの方は無料
※神奈川県立の博物館等の有料観覧券の半券提出による割引制度あり

三国志之内 桃園義結図

『三国志演義』の始まり、「桃園結義」の場面です。劉備(中央)、張飛(右)、関羽(左)がゆったりと酒を酌み交わしています。

通俗水滸伝豪傑百八人一個 金銭豹子湯隆(きんせんひょうしとうりゅう)

「通俗水滸伝豪傑百八人一個」シリーズは国芳の出世作です。本図では武器を作った湯隆ができあがりを見ています。隆々たる筋肉の表現が目をひきます。

唐土廿四孝 剡子(えんし)

24人の親孝行を描いたシリーズです。剡子は親に鹿の乳を飲ませるために、鹿の皮を被って鹿の群れに入ったところ、猟師に撃たれそうになりました。親孝行も命がけです。

展示リスト

作品名
韓信胯潜之図
三国志之内 桃園義結図
通俗水滸伝豪傑百八人一個 金銭豹子湯隆
通俗水滸伝豪傑百八人一個 母夜叉孫二娘
二十四孝童子鑑 大舜
二十四孝童子鑑 董永
唐土廿四孝 剡子
唐土廿四孝 庾黔婁(ゆけんろう)
三国妖狐図会 天竺 華陽夫人采姫が眼を射て斑足王をなぐさむ
三国妖狐図会 華陽夫人老狐の本形を顕し東天に飛去る

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