展示

西方寺の仏像

今月の逸品」では、学芸員が交代で収蔵資料の魅力を紹介します。

2018年5月の逸品(展示期間:4月28日~)

西方寺の仏像

西方寺の仏像

「伝聖徳太子立像」像高57.1㎝

西方寺(横浜市港北区)は、建久年間(1190~1199)、鎌倉佐々目(現、鎌倉市笹目町)に開創され鎌倉時代後期には鎌倉極楽寺付近に移ったが、近世になって横浜の地に移転したという歴史を持つ。 その西方寺には、神奈川県内でも屈指の平安時代の仏像が伝えられている。 今回は11世紀の伝大吉祥菩薩立像と伝聖徳太子立像の2軀を特別に公開している。寺外では初公開となる。 どちらも一木造りの技法で彫られており、頭頂部から台座の地付まで一材で彫り出されている。前者は左手を、後者は右手を体の側面に配し、掌を内側にむけすべての造ることへの工夫がみられる。両像ともに江戸時代の後補の彩色や金箔に覆われているが、一木造りの仏像としての存在感を示す。 西方寺には他にも平安時代の仏像があり、神奈川県重要文化財に指定されている本尊阿弥陀如来坐像や、近年その存在が改めて注目され横浜市の指定文化財になった十一面観音菩薩立像があり、いずれも12世紀の製作と考えられている。 横浜などの仏像と縁遠いと思われがちな地域にも何百年も前から守り伝えられてきた仏像が存在することを知ってほしい。(神野祐太・当館学芸員)

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