展示

双体道祖神

今月の逸品」では、学芸員が交代で収蔵資料の魅力を紹介します。

2019年1月の逸品(展示期間:通年 ミュージアムトーク:1月16日)

双体道祖神

双体道祖神

石造
文政13(1830)年
高540×幅270×奥190(mm)

本県では、現在でも地域色豊かな小正月の行事が盛んに行われています。小正月とは1月15日前後に行われる行事で、1月1日の歳神を迎える大正月に対する呼称です。小正月に行われる民俗行事には、除災・豊穣・新しい年を祝う意味などが込められています。

写真は藤沢市高倉集落の入口で祀られていた文政13(1830)年造立の道祖神(境の神の総称)です。向かって左側に簪をさした女神、右側に烏帽子を被り笏を持った男神が並んで立つ双体道祖神です。顔や衣紋が細部まで表現されており、どちらも手を袖の中に入れています。石造物の中には、現在ではその信仰が失われているものもありますが、ことに道祖神は小正月のサイトヤキ(ドンド焼き、団子焼きともいう)と呼ばれる行事の時には大きな存在感を放っています。小正月の際には道祖神の前で正月飾りや団子を焼いたり、または道祖神そのものを火中に投じたりしています。これは道祖神に一年間の人々の災厄やケガレを背負わせて焼き払うためだといわれています。

今回の「今月の逸品」では、道祖神の形態や信仰も紹介しながら、本県の多彩な小正月の諸行事について紹介します。(新井 裕美・当館学芸員)

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