展示

葛飾北斎が描いたかながわ

今月の逸品」では、学芸員が交代で収蔵資料の魅力を紹介します。

2019年9月の逸品(展示期間:9月11日~10月20日 ミュージアムトーク:9月18日)

葛飾北斎が描いたかながわ

葛飾北斎が描いたかながわ

葛飾北斎画 鎌倉江ノ嶋大山新板往来双六
制作年:1831年

今年、2019年は浮世絵師葛飾北斎(1760~1849)が没して170年となります。この機会に館蔵の北斎作品から神奈川の風景を描いた作品をご紹介します。

北斎は長い生涯において数多くの個性あふれる作品を描きました。なかでも現在、Great Waveの愛称で海外でも親しまれている「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(今回は展示しません)をはじめとする風景画は人気があります。北斎と初代歌川広重(1797~1858)らの作品によって人気となった風景画には、現在の神奈川県域にあった東海道の宿場や、江の島や大山など、江戸からの小旅行に好まれた地が取り上げられました。しかし、北斎はほかの絵師が描かなかった場所も描いています。例えば代表作ともいえる「冨嶽三十六景」シリーズでは、定番の名所以外に、梅沢(二宮町)、中(仲)原(平塚市)なども描かれています。また、日本橋を振り出しに鎌倉、江の島、大山を巡って再び日本橋に戻る「鎌倉江ノ島大山新板往来双六」(写真)では、浮世絵には珍しく鎌倉の寺社が取り上げられています。

神奈川の風景を描いた浮世絵を紹介する当館の常設展で、北斎の作品をいっぺんに複数紹介するのははじめてです。この機会に北斎が描いたかながわをお楽しみいただければ幸いです。(桑山童奈・当館主任学芸員)

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