展示

大山の木地師

今月の逸品」では、学芸員が交代で収蔵資料の魅力を紹介します。

2020年1月の逸品(展示期間:常時 ミュージアムトーク:1月22日)

大山の木地師(きじし)

大山の木地師(きじし)

大山の木地師

民俗展示室の「受け継がれる技術」のコーナーでは、大山独楽やダルマオトシなどの郷土玩具を展示しています。土産物屋や豆腐料理の店などが軒を連ねる大山阿夫利(あふり)神社への参道は「こま参道」とも呼ばれ、大山でつくられる独楽は当地を代表する土産物の一つです。

大山でつくられる独楽などの木地(きじ)製品は大山信仰と結びついて発展していきました。大山の参道が参拝者で賑わう様子は寛政9(1797)年刊行の『東海道名所図会』に「前不動堂まで廿八町、坂路の両側民家軒端をつらねて御師の家、旅舎、茶店、あるは名物の挽物店多し」とあります。文中の挽物(ひきもの)とは轆轤(ろくろ)を挽いてつくる木地製品のことで、これを専門につくる職人のことを木地師といいます。この記述からは少なくとも江戸時代中期頃の大山の参道では、各地から大山詣に訪れた人たちと、それを迎えた御師の家・宿・茶屋・挽物店などで大変賑わっていたことがわかります。

今回は現在でも生産されている大山独楽をはじめとした木地製品やそれをつくる職人とその道具などについてお話をします。(新井 裕美・当館学芸員)

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