和綴じを体験してみよう

和綴じを体験してみよう
-オリジナル 和綴じ ノートを作ろう― (令和3年6月16日公開)

(犬のカメ)ワンワン、パンチの守さま、おこもり時間におうちを整理していたら、こんな和風のノートが 出てきたのです!

和綴じノート画像その1

(パンチの守)カメ、それは「和綴(わと)じ」じゃ!
以前、けんぱくでコレクション展「『桜井家文書』-戦国武士がみた戦争と平和-」を行ったが、この時の連続講座(注1)で「和綴じ体験」をしたのをよく覚えておるぞ。その時にカメが参加して作ったものではないか。ホームページの催し物記録にも当時の体験教室の様子がアップされておるぞ。
カメよ、「和綴じ」がどういうものだったか、覚えておるかな?

注1)コレクション展連続講座「地域史のための中世古文書入門-フィールドワーク事始め-」(全4回)

カメそうでしたね! 和綴じ本(和本)は昔から日本で作られていた冊子のことですね。重ねた紙の束の右側に小さい穴をあけて、糸で綴じていく方法のことを「和綴じ」と言うのですよね。

パンチのかみさすがはカメ。けんぱくにも和綴じのこんな資料があるぞ。すべて糸で右側が綴じられているのがわかるかのぅ? 四ツ目綴じ、という綴じ方じゃ。日本語は縦書きで、右から左へと読み進めるから右綴じになるんじゃな。国語の教科書と同じじゃのう。

和綴じ本画像
横から見るとこのようになっています。

パンチのかみ最近和綴じ本は手にする機会が少なくなったが、体験教室で作った和綴じノートをマイ学習ノートとして講座の内容を記して使用している者もおったようじゃ。和綴じは、材料や道具さえあれば簡単に製本ができるし、紙や綴り糸は好みで選ぶこともできるぞ。それから、これをみてほしいぞ。

綴紐が切れている

カメおや、大変です!綴じ紐がきれてしまっています。

パンチのかみこのように本が傷んだ時でも修理がしやすいというのも、大きな特徴じゃ。綴じ方を間違えた時にもやり直しがきくのはよいのう。

カメそれは素晴らしいです! でも、なかなか覚えるのにもコツがいりますよね。

パンチのかみ連続講座で作った和綴じ本の作り方を載せておくので、よかったら皆も家で作ってみてはどうじゃろう。

カメ日常生活の中でも和綴じにトライすると、色々アレンジも利きそうで楽しそうそうですね! ワン!
今回は和綴じの代表である「四つ目綴じ(よつめとじ)」のノートを作ってみましょう!
皆さんも、紙の模様や糸の色などの組み合わせを楽しく考えながら、材料を選んでみてはいかがでしょう。

今回は「A5サイズ」の四つ目綴じノートを作ってみましょう!

道具の準備

  1. 表紙・裏表紙  A4サイズ2枚 …厚手の色画用紙など(本紙よりも厚手で色つきのものがおススメ)
  2. 本紙      A4サイズ5枚 …コピー用紙やケント紙など
  3. 題せん        1、2枚 …表紙に貼る場合。横2×縦6cm程度の大きさ。必要であれば。
  4. ダブルクリップ      2つ …中くらいのもの
  5. 綴り糸 ※色付糸可能 1、2本 …太く撚(よ)ってある糸(他の糸でもできますが仕上がりがきれいです)
  6. 針(製本針、ふとん針など)   …長めで糸通しの穴が大きめのものが使いやすい。
  7. 穴をあけるもの      1本 …目打ち、千枚通しなど
  8. ゴム製ハンマー      1本 …目打ちを使う場合は用意します。
  9. カッターマットもしくは厚みのある台(時刻表や雑誌などでも可能)
                 1台…目打ちを使う場合は用意します。
  10. 穴あけ位置のテンプレート 1枚(こちらからダウンロードし、印刷して使います)

1.綴り糸の用意

左の写真のように、綴じ糸を和本の天(上部)から地(下部)の約3倍を用意し糸を切る。それから綴じ針に糸を通す。

2.表・裏表紙と本紙をそれぞれ半分に折る。

小口 → 折山になるように、背 → 折山ではないほうにする。

3.折った紙をそれぞれ重ねる。

できるだけきれいに紙を折り、重ねる。

その上に印刷したテンプレートを置き、以下写真のようにダブルクリップで天と地にそれぞれ2か所とめておく。

4.紙に糸を通す穴を開ける。

表紙と本紙に厚みがあるので、糸を通す前に紙に穴を開ける。

テンプレートの穴あけ位置(4か所)に沿って穴を開ける。
千枚通し(もしくは目打ち)を置き、ゴムハンマーで
上からたたく。
※表紙の上からたたいて裏表紙まで穴が開かない場合、裏表紙からも穴を開けるとやりやすい。
 

※穴を開けるときの注意※

穴を開けるときは保護者の方と一緒に作業しましょう。

※穴開けの際の目安は「穴の大きさ2~3㎜程度、もしくは針3本分通る程度」。
穴は大きくしすぎないことがコツ。スルッと糸が通る程度がよい。

穴があいたら、クリップを取ってテンプレートのみはずす。
※表紙と本紙がきれいに整うように慎重に外し、再度クリップを二か所とめておく。

「背」になる(穴を開けた)ほうを「手前」に来るように向きを変える。
机の縁にこのように置くと糸通しが楽になる。
 

5.糸で紙を綴じる

*基本の方法* 【四つ目綴じの綴じかた】

縫いはじめ(最初)の場所は異なることもある。

1.

【とめ方①】
針に綴り糸を通す。
玉どめを作っておく。
※糸先にふのりをつける方法もある。
→【とめ方②】を参照

【とめ方②】
※糸先に1mm程度ふのりをつけて「2.」の手順をすすめ、引き切らず途中で止め、上から指のはらで強くおさえる。(ヤマトのり代用可)
2.

表紙の下4頁をめくり下より針を入れ、①に出す。
玉どめは穴のきわまで引かず、背の方へはさみ込む。
3.

背表紙に糸をわたしておく。
②から①(下から上へ)に出す。
4.

針を③に入れて④に出す。
背表紙に糸をわたし、再度③→④へ。
5.

針を⑤にいれ⑥に出す。
背表紙に糸をわたして⑤→⑥へ。

その都度、「ひっぱる」「おさえる」「たるまない」を心がけてやってみよう。

綴じる際のワンポイントアドバイス!

針と糸を穴に通すときに、通った穴を指の腹でおさえ、糸をきつくひっぱると、糸がたるまずにきれいに綴じることができます!

6.

糸を左端(地)にかけ、⑦から⑧に出す。
7.

⑨にいれ⑩に出す。
8.

⑪にいれ⑫に戻る。
9.

⑬にいれ⑭に出す。
背表紙に糸をわたし⑬→⑭へ。
10.

糸を右端(天)にかける。
もう一度⑬→⑭に出す。
11.

⑮→⑯に戻る。
12.

糸のたるみを調節し、⑯の位置で結ぶ。
13.

同じ⑯の穴へ針を入れ、4頁程度下より最初に作った玉止め (2.) と反対方向へ針を出し、結び目を隠す。

完成!!
自分だけの和綴じノートができました!

カメうまくできました!

パンチのかみほうほう、それはよかった。カメ、ところで四ツ目綴じ以外にも綴じ方があるのじゃぞ。

カメそうなのですね。他にどんな綴じ方があるのですか?

パンチのかみそうじゃな、他にも「康煕(高貴:こうき)綴じ」や「朝鮮綴じ」などの和綴じもある。
康煕(高貴)綴じは四ツ目綴じをもう少し複雑にした綴じ方じゃが、また違った印象になるのじゃぞ。これを見たまえ。

康煕(高貴)綴じ
朝鮮綴じ

カメ面白いですね! よし、それじゃあボクも康煕(高貴)綴じをやってみよう!

~~~ 後日 ~~~

カメワンワン! パンチの守さま、康煕(高貴)綴じにチャレンジしてみましたワン!

康煕(高貴)綴じノート画像

パンチのかみおお、カメも頑張っておるな! お気に入りの資料を見つけたら書きとめられるように、自分で作った 和綴じノートを持ってけんぱくに行くとよいぞ! ただし、展示室では鉛筆を使用してくれい。

カメはい。世界に一つだけのオリジナルノートを持って展示をみてきます! ワクワクしますね!

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