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横浜美術史【第Ⅰ期 没後130年記念 チャールズ・ワーグマン】
【第Ⅰ期 没後130年記念 チャールズ・ワーグマン】
2021年に没後130年、来日160年を迎えるチャールズ・ワーグマン Charles Wirgman (1832-1891)。彼が開港間もない横浜へやってきたのは、1861年。長崎から陸路を主として神奈川・江戸入りしたワーグマンは、イギリスの絵入り新聞『イラストレイテッド・ロンドン・ニューズ』の特派員でした。絵と文章を本国へ送り、イギリスそしてヨーロッパ中に、幕末期の日本の等身大の様子を伝えました。1862年からは横浜に定住、『ジャパン・パンチ』を創刊し、日本での創作活動の軸となりました。
特派員としてワーグマンが期待されたのは、現地の風景や風俗をすばやく描き、その土地やそこに生きる人々の雰囲気を伝えることにありました。ですから、ワーグマンの絵は鉛筆や水彩絵の具で、およそのかたちを把握し、風や光、人々の動きをとらえることに特徴があります。
比較して油彩画はさほど巧みではありませんが、≪街道≫≪宿場≫では活動する日本人の姿を描き込み、彼の興味の焦点がわかります。また≪街道≫は、フランス海軍士官で画家だったアルフレッド・ルサンのスケッチにより、東海道保土ヶ谷あたりを描いたことがわかりました。
ヨーロッパや日本、アジアといった、いわば超国際的なネットワークの中で活躍したワーグマンにより、横浜の美術は開かれていたといっても過言ではありません。