横浜美術史【第Ⅳ期 五姓田義松】

【第Ⅳ期 五姓田義松】

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※本展示はJSPS科研費 19H01677の研究成果のひとつです。

 トピック展示「横浜美術史」第Ⅳ期では、横浜美術史黎明期の最高の画家、五姓田義松(ごせだよしまつ)をご紹介します。
 五姓田義松は、慶応元年、1865年にチャールズ・ワーグマンに入門しました。開港場横浜で、新技術である洋画を学び始めたとき、わずか10才でした。その頃はまだ江戸住まい、横浜まで通ったと推測されます。明治に改元した後、横浜に移住し、ワーグマンのもとで本格的な修行を始めました。まず、鉛筆で身の回りのモノを描くことからはじまり、水彩で色を付けるようになり、次第に風景を描いていったのでしょう。ここで紹介する多くの鉛筆や水彩で描かれた小片は、義松の初期作品ばかりだとその作風から考えることができます。つまり、彼が横浜時代に修行した作品であり、日本洋画史が誕生し、成長する「成長期」の姿ともいえます。同時に写真ではなかなか撮影されなかった、できなかった幕末明治初頭の横浜の姿ということもできるでしょう。重厚な油彩画も魅力的ですが、この最初期の活き活きとした鉛筆画や水彩画が義松の優れた特質です。

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 あわせてこのたびの展示では、明治期の図画教科書もご紹介します。というのも、義松の弟子の多くが図画教員として全国の学生を指導した事実があるからです。図画教育のモデル、源流は複数ありますが、そのひとつに義松が位置しています。彼の初期の植物画や風景画、そして人物画を見ると、明治期の図画教科書と共通する要素を数多く見つけることができます。明治時代に「洋画」を学ぶということは、単に筆や絵の具などの画材や塗り方などの技術を習得することだけを意味するものではなく、「何を描くのか」「モノ・風景をどう見るのか」ということを学ぶことでもあったのです。

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