展示
コレクション展
修理完成記念特別公開 涅槃図
文化財修復でよみがえった涅槃図を初公開!
獅子、ゾウ、モグラ!?お釈迦様のご臨終に動物たちがかけつけた!
涅槃(ねはん)は釈迦の入滅、つまり「死」を意味する仏教美術の重要なテーマです。涅槃図は日本では中世以降、釈迦の命日とされる二月十五日に行われる涅槃会の本尊として数多く制作されました。
涅槃図の舞台はインドのクシナガラです。釈迦は長い修行の旅をつづけ、自分がもうすぐ死ぬことを悟ります。画面の中央には、跋提河(ばだいが)のほとりの沙羅双樹の下に横たわる釈迦が描かれています。その宝床(ベッド)を取り囲むように菩薩や明王、天部、弟子、国王、鳥獣が集まっています。会衆は顔をゆがめて号泣し、悲しみのあまり失神してしまう弟子もいます。皆が嘆き悲しむ場面ですが、釈迦の表情は穏やかでまるで眠っているように描かれています。なぜならば、涅槃は人間としての釈迦の「死」であると同時に、この世の物質的な制約から自由になり、仏という永遠の存在となった瞬間でもあるからです。
涅槃図は「死」をテーマにした絵画でありながら、どこか親しみやすく楽しい雰囲気があります。おそらくそれは画面にたくさんの動物や鳥たちが描かれているからでしょう。ゾウ、ウシ、サルなどわたしたちがよく知っている動物のほかに、鳳凰(ほうおう)や迦陵頻伽(かりょうびんが)などの空想上の動物も描かれています。さらに目をこらすと、ハチ、トカゲ、ヘビなどの昆虫や爬虫類も描かれています。また、絵師がその生物をよく理解していなかったからのか、モグラとイタチをあわせたような不思議な生き物も描かれています。どんな生き物がいるのか、画面のすみずみまでよく探してみてください。
本展では、2年にわたる大規模な修理によりよみがえった大きな涅槃図を修理後初公開します。また、当館所蔵のコレクション、寄託品から十六羅漢図(重要美術品)、紺紙金字法華経など釈迦信仰に関連する仏教美術の名品をあわせてご紹介します。
開催情報
概要
会期:2011年8月3日(水)~8月31日(水)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:毎週月曜日
会場:コレクション展示室
観覧料:無料
展示品について
展示数
約12点
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